AIイラスト、主要なマネタイズサービスから締め出される

 2023/5/10~11にかけて、Fanbox、Fantia、Cien、DLsite等の主だったマネタイズサービスが、AI絵の取引を実質的に禁止。

 

 理由としてはおおよそ「既存のクリエイター様への影響を考慮」とされているが、端的に言って「5/1のjcom事件に対する火消し」という意味合いがかなり大きい。実際、これらの発表により、5/1以降続いていた反AI的なムーブメントは急速に沈静化した。

 

 一連の騒ぎを通し、反AI内の温度差が可視化され始める。以下箇条書き。

 

 「一切の無断学習を禁止すべき」「少しでもAIを使ったらその絵はAI絵でありゴミ」「全てのサービスからAI絵を締め出すべき」「合法なのは法律が間違っているだけで自分の考えの方が正しい」といった先鋭化した反AI原理主義者が誕生し、その高い攻撃性によりコミュニティ全体から徐々に浮き始める。

 

 「イラストレータの仕事を奪う画像生成AIは絶対に許さないが、翻訳家の仕事を奪った機械翻訳はどうでもいいので便利な道具として使う」「文章は著作権がないからOK」といった自己中心的なダブルスタンダードが目立ち始める。

 

 「人物が手描きなら背景はAIでもOK」とする人物至上主義・背景軽視主義の存在が可視化され、背景専門のイラストレータと軋轢が発生。

 

 イラストレータとマンガ家のスタンスの違いが顕著となる。イラストレータが反AI化しやすい一方で、マンガ家はそうでもない。イラストレータにとっては作画が全てだが、マンガ家にとって作画は構成要素の一つに過ぎず、全てではないからである。

 

 「無断学習やAI生成物の販売に嫌悪感を示す一方で、権利者に無断で作ったエロ同人が利益を出し続けているのはダブルスタンダードではないのか」という、木目事件で浮上した根本的な議論も存在感を増した。