low strength i2iについて

 i2i(image to image / img2img)とは、「AIに画像を参照させながら別の画像を描かせる」という技術である。主に、画像全体の高解像度化や、手描き修正した部分を周囲に馴染ませる用途に使う。

 よく勘違いされるが、これは学習ではない。i2iに画像を渡しても、その時1回だけ色情報を参照するだけで、AIは何も学ばない。もちろん「無断学習」とも関係がない。そもそも学習していないので。

 

 i2iを実行するとき、AIにどの程度元絵の形状を残すか指示できる。もちろん「ほぼ変更するな」と指示する事もできる。その場合、AIは当然ほぼ元絵そのままの絵を出してくる。これがlow strength i2iである。

 

 手塚憲一の版権絵トレスや、AI素材.comへのジバニャン登録等の、反AI主義者がはしゃぎそうなどうでもいい事例で活用されている。「違法な画像が出てしまう」というような言い方もされるが、前述の通り出そうとしたから出ているだけの話で、特に驚くべき事ではない。誰も擁護できない正真正銘の「悪用」であり、文化庁見解でも完全に黒とされている。

 

 これは人間が悪意を持って元データを用意し、意図的にAIに指示を出さなければ実行されない。よってlow strength i2i問題の主体はAI側にはない。手塚憲一事件は、「AIによる被害」でも、「無断学習による被害」でもなく、「手塚憲一による被害」だという事である。

 

 「そんなトレスにしか使い道がない機能を実装するなよ」と思う人もいるかもしれないが、トレス以外にも使い道はある。話が逸れるので本文でその説明はしない。