ビビッドアーミー事件

 2023/9/4、中国の江娯互動科技有限公司が開発し、G123.jpが日本向けにローカライズ・運営しているブラウザゲーム「ビビッドアーミー」が、web広告において、石恵氏(著名なイラストレータ)のイラストに非常によく似た画風の、おそらくAIで生成したと思われる画像を使用していると、石恵氏本人がTwitterで訴える。さらにその後、石恵氏が「弁護士と相談している」と発言した事で、この事例が日本における対生成AI裁判第1号になる可能性が生じ、にわかに注目を集める。

 

 この事例は手塚憲一事件等とは異なり、「明らかに特定作家の画像でファインチューニングしているが、low strength i2iではないので1:1対応する元絵が存在しない」ケースとみられるため、仮に係争となった場合、判例としての価値は大きい。

 

 一方で、これはAI特有の問題というわけではなく、例によって手描きでも普通に犯罪になるケースなので、この事例を利用して生成AIだけを選択的に攻撃する事は難しい。同じ理由で「制作に生成AIを使用したかどうか」も(手描きでも犯罪なので)争点になりにくいし、「手描きでも犯罪だが生成AIを使ったので特に悪質だ」とゲタを履かせる事も難しい。

 

 なお、ビビッドアーミーは「ゲーム中に出てこないキャラクターをイラストに使ったゲーム内容と全く関係ない広告」、いわゆる釣り広告で有名で、今回問題となっているキャラクターもゲーム中には一切出てこない。